企画展「西田天香と杉本哲郎 − 長浜ゆかりの偉大な思想家と芸術家 − 」の見どころをご紹介します。
◆会場についてのご案内
【第1会場】…長浜市長浜城歴史博物館
【第2会場】…長浜市曳山博物館
西田天香作品の見どころ
自由律俳句の俳人として知られる尾崎放哉は、大正12年(1923)から半年間一燈園へ滞在していました。この手紙では、朝鮮から帰国し長崎にいた放哉が、一燈園入園を西田天香に依頼しています。【第1会場】
尾崎放哉 直筆の手紙
建築家・ヴォーリズが来日30年を記念し揮毫した書
アメリカ出身の建築家で、日本にも多くの作品を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズは、大正12年に天香がヴォーリズの自宅を訪れて以来、天香と親交がありました。本書は、ヴォーリズが、来日30年を迎えた昭和10年(1935)に揮毫したものです。【第1会場】
マキシリアノ・コルベはポーランド出身の宣教師です。第二次世界大戦中、ナチスに批判的とされてアウシュビッツ収容所に収容され、ある処刑者の身代わりとなって処刑され、戦後、ローマ教皇庁によって聖人に列せられました。
本像は、日本に来日していたコルベが、天香に寄贈したマリア像です。のちに、このマリア像を知ったヨハネパウロ二世は、西田多戈止(一燈園当番)が平成2年(1990)にローマを訪問した際に、按手(手を置くこと)による祝福を行っています。【第2会場】
一燈園にある資料館「香倉院」には、西田天香や天香とゆかりのあった人物の資料が多数収蔵されています。とくに、民芸運動の推進者である河井寛次郎が天香と交流があったことから、香倉院は、大正時代に「用の美」を提唱した民芸運動に関わる優れた作品を多数所蔵することで知られます。
中でも、香倉院が所蔵する《二菩薩釈迦十大弟子》は、棟方志功の代表作です。
《二菩薩釈迦十大弟子》は、戦時中に二菩薩の版木が焼失し、戦後、二菩薩のみ別の版木で制作されますが、香倉院に伝わる本作は焼失前の版木で二菩薩を摺った貴重な作品です。
<前期展示~11/18>普賢・文殊菩薩の2幅のみ展示 【第1会場】
<後期展示11/19~12/11>全12幅展示 【第1会場】
杉本哲郎作品の見どころ
杉本哲郎は、昭和12~13年(1937~38)にインド・アジャンター石窟寺院およびスリランカ・シーギリヤ壁画の模写のためインドへ渡りました。
アジャンター石窟寺院の壁画のうち、パドマパニー(伝蓮華手菩薩)は、日本初の本格的な仏画作品である法隆寺金堂壁画にも影響を与えた作品で、この絵を哲郎は模写して日本へ持ち帰りました。帰国後、哲郎の作品は仏画をはじめとする宗教画が主な題材となり、国内外で評価されることになります。
本作は、実際に、哲郎がアジャンター石窟寺院で模写したパドマパニーの実物大の下絵であり、日本美術史においても重要な作例の模写として大変貴重です。【第2会場】
杉本哲郎の代表作《世界十大宗教壁画》は、哲郎の「万教は同根、真理は真・善・美も一つに帰納する」という考えに基づき、世界の十大宗教を題材にした25作の連作です。
本展では、このうち、《法悦の釈尊》(仏教)、《三輪山》(神道)、《メッカへの礼拝》(イスラム教)、《十字架》(キリスト教)の4作品を展示します。【第2会場】
本展が初公開となる杉本哲郎の作品を多数展示します。アジアをはじめ世界各地の美術を研究した哲郎の多彩な画業をご覧ください。